『とんでもないことをしてくれたね』
真っ暗だ。
私は一体なにを…。
声が出ない。
こっちから聞こえたような…。
『”誰かを想う心”はモンスターが生きていく上で、なくてはならないもの。それを失せばどうなるかなど余計な詮索をしたからその結果になったのだろう』
近くにメモとペンが落ちている。
それを手に取って書き始めた。
『結果、お前たちは融合した。もうお前たちは一つの個体として生きていくほかない』
サラサラとメモにペンを走らせる。
『本当はぼくだってこんなことで出たくなかったさ。でもそうしないといけないから……って何書いてるの』
書き終わった。
それを目の前の誰かに見せる。
誰かはそれを拾った。
『……”誰かを想う心を失ったらどうなるの”…。知りたい?』
メモにまた書いていく。声が出ないのだから仕方ない。
『”知りたい”…。そうだな、キミが研究していたものだからな。教えてあげるよ。』
『…自分の体、ちゃんと見てみたら?』
言われるがまま、体を見る。
体が透け始めていた。触ろうにも実体はなく、空を掴む。
『それが答え。自身の存在を認める者、互いに支え合う者がいなくなれば自身の存在価値はない。どんな想いの形であれ、認知する者が消えてしまえば自分も消えるんだ。そして誰もキミのことを覚えていない』
そうか、私は消えるのか。
『キミが消えるには惜しい。だからぼくがここに来た』
今このモンスター?が言ったこと全てを書き残すべきなのかもしれない。
メモに書き足していく。
『これからキミはぼくと一緒に来てもらうことになる。ぼくの助手さ。わかったね?』
サラサラ…。
『ぼく、ずっと一人で退屈だったんだよね。だからちょうどいいよなって思ってさ』
サラサラ……。
『あ、そういえば挨拶がまだだったね…って!! ぼくの名前を書き残すのはやめてよ!! 誰かがぼくの存在を知ってしまったらどうするつもり!?』
怒鳴られてしまった。今の心情もメモに書き足す。とても悲しい…。
『…そんな子犬みたいに震えなくても…ぼくが悪いみたいじゃないか……ハァ……もう…好きにしなよ…』
ため息をつかれてしまった。
許可を得たのでまだ書き足している。
『…まぁいいや…。そんなことよりさ、キミにはぼくの姿はどう映っているの?』
姿……。
よく見てみる。
真っ黒だ。二息歩行なのか四足歩行なのかもわからない。ただ真っ黒な霧がただずんでいた。
『ぼくの姿はそいつが大切に想っている相手になる。今のキミにはなにも分からないか…』
……。
『…改めて、自己紹介としよう。…大丈夫? ほら起きて。…そうか。キミには名前がなかったな…』
名前…。この体になる前の名前も忘れてしまった。
『…ぼくがつけてあげよう』
『 Gaster 』
『いい名前だろう? これからはそう名乗るといい』
そういうと彼?は*****に姿を変えた。
『キミはこれからぼくを想って生きてもらう。それがキミが生きていくために大切な事だから。この姿は仮さ。ないと不便だろう? 』
『…ぼくのなまえ?』
『 ぼ く の 名 前 は
ここでメモの文章は途切れている。
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