sandtale-fromのブログ

UNDERTALE AUになります。砂漠化の世界、救うのは一輪の金色の花

アンダイン FIGHT


あぁ…もうめんどくさいな。


さっさと終わらせるか。



モンスターが追ってきている。
本当にめんどくさい。


ここまで至るに何十もの苦労を積み重ねすぎた。
いくら好奇心が勝ったとはいえ、何度も試行錯誤を繰り返すのは面倒この上ない。


さて、ここからはどうするべきか。


何度も見た光景。
親切に魔法の障壁を作る槍を渡す。
それを防ぐ。防いで、前は逃げたんだっけ。


そうだそうだ。確か勝てるわけないと思って逃げたんだった。


まぁ、あの時は仕方なかったよね。
だってどう見てもアンダインは敵う相手じゃない。


そう。だから逃げるしかなかった。


でも今は違うはずだろう?


人間は、ポケットから"お守り"を取り出し、刃を出した。




*Determination




走っていた足を止め、アンダインと向かい合う。


なにやらアンダインはすでに疲労しているようだった。


当たり前だ。


逆に人間の方は疲れておらず、口角を上げていた。


当たり前だ。



”そうなるように仕向けたのだから”



「どうしたのアンダイン。もう疲れた?」


人間が挑発した。


「ハッ…! なんのことだ」


その挑発に乗る気力すら残り僅かしかないようで、人間に悟られぬように振舞っているものの、今の人間には見透かされていることに気づいていない。
人間、ましてや子どもだと侮っているのだろう。好都合だった。


サンズにはずいぶんと働いてもらった。
そのためにわざわざ仲良く接したわけだし、ほんの僅かの変化も見逃さず臨機応変に対応したのだから。サンズは勘の良すぎるモンスターだった。だからそのためにとてつもない時間を要してしまった。
だがそのぶん、僕を庇う時間が増えたということだ。アンダインは前に比べて明らかに余力がない。


そして、そろそろタイムリミットだ。
あと数分でアンダインは地に伏せることになる。
この砂漠の中だ。何度も試行錯誤しなければ暑さで体力と気力が奪われていくなか、どうこのモンスターを殺せるか順序をたてていくことができない。


そのために何度リセットしたものか。



あれ、すごく”痛い”んだよね。


なにが痛いって? そりゃ言葉通り、”死ぬほど痛い”んだよ。



あーあ。そんなこと考えていたらアンダインが倒れちゃってるよ。


どうしようかなぁ…このまま首元にお守りを突き刺すのもいいし、このまま放置して行くのもいいのだけどそれだと華がない。


せっかくだし少しアンダインとおしゃべりしようかな。


「おーい。アンダイーン。生きてるー?」


我ながら抑揚のない声で小さく乾いた笑いがでる。


うぅ…と小さく呻き声を上げるモンスター。
………。返事がないなー。どうしようか……。




「あ。そういえばこの先の建物にアルフィスがいたっけ」




アルフィス、このモンスターの大切な友達。
アンダインはその言葉に反応して指先をピクリと動かした。


「アルフィスなぁ。あ、そうだ。彼女、僕のものにしていい?」


にっこりと笑って見せる。前の僕では笑った表情ですら他の者には読み取れなかっただろうな。でも、今の僕は違う。こうやって笑うことができる。
今の僕は一体どんな顔をしているのだろうね?



「…ッ……!! 貴様ァ!!!!!」



立ち上がろうとしたモンスターの右腕をお守りで突き刺す。


鈍い音とともにその刃は呆気なく貫通した。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」



うるさいな。



お守りを右腕から引き抜いて、次は右肩に突き刺す。
左腕にやっちゃったら痛みが平等になっちゃうから一か所を丁寧に丁寧に抉り続ける。
そうすれば痛覚はそちらに集中する。たぶんね。


じっくりじっくり、まるで手術でもするみたいに。


槍を形成する魔力が尽きるほど戦ったんだ。抵抗する力なんてもうこいつにはない。


あぁ、ここまで本当に苦労した。


ちょうど、モンスターの体の構造についても調べてみたかったからこの機会は逃せないし、なによりも、これはただの”好奇心”だ。


右腕を抉る。ナイフで抉る。抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る抉る。


……そうだ。確か指先は触覚が敏感なんだっけ。
なら、痛覚もかなりのもののはずだよね。抉ろう。
確か、足の裏や足の指先も触覚がいいんだっけ。抉ろう。


抉るたびにモンスターは悲鳴を上げている。全く、煩わしいこの上ない。
中身がどうなってるか、だって?


知ってどうするの?
これは僕だけの知識だ。なんの苦労も知らない、見ているだけの奴らに教えてたまるか。


これはただの拷問だし、研究なんていうけどそんなものは二の次なんだよ。


モンスターが苦しんでいる。
このままだと本当に死んでしまうな。だけど、研究所に運ぶのはよくない。
アルフィスにバレたら厄介かもしれないから。


「……知ってるぞ……」


モンスターが突然口を開いた。


「…お前がパピルスに何をしたか……!! それだけじゃない…! キャラ様にその下劣な顔を隠して接するお前を……!!!」


「あ、なに? 見てたの? 恥ずかしいなぁ…」


そんな感情さらさらないけどね。


「なのに!! サンズはそれを邪魔してきた!!! あいつはお前の本当の顔を知らないんだ!!!!」


「うん。そうだよ、知られないように何度も死んできたんだから」


死んできた。その言葉に意味が分かっていないようだ。僕を睨みつけている。


仕方ない、少し教えようか。どうせ塵とともに砂へ還るモンスターだ。


「…”リセット”って言ってね。本当に最初、ルインズのベッドで目を覚ますあの時に戻れるんだ。もう一つ、”コンテニュー”の力は僕が覚悟を決めたあの時に戻れる。でもこの二つには大きな違いがあるんだ。よく聞いてね」




「リセットは自殺しなければ使えない」


「コンテニューは誰かに殺されなければ使えない」




風が人間とモンスターの横を通り過ぎていく。


「…………分かった? 僕は君に何度も殺されてコンテニューしてきたんだ。そして今、君を殺すために何度もこのナイフで自分を殺してリセットしてきた」


その時の再現とでも言うかのように手に持ったお守りの刃先を自分の首元にあてがった。
それを見たアンダインは額に汗を流しながら、苦笑いのようなあざ笑うような笑みを人間に向けた。


「………もしそれが本当なら、お前、そうとう狂ってるな」


「そっかそっか、褒めてくれてありがとう」




もう飽きた。




僕はモンスターの額に向かってナイフを振り下ろした。





研究所。


マントに付いた塵は払えているだろうか。


ドアを三回ノックする。


コンコンコン


しばらくしてドアが開いた。いつもの光景だ。
だが、一つ違うならここにいつも連れて来ていたモンスターがいないことか。


「あ……あなた…もしかして…人間…?」


「………」


……。


「うん! そうなんだ! ちょっと迷子になっちゃって…ここは暑いから中に入れて欲しいんだけどだめかな?」


白衣を着たモンスターが少しおどおどとした態度をしている。


「わ…わかった…! 早く中に入って! て…適当にくつろいでいいからね…!」


研究所の中は相変わらず快適な室温だ。
今までの疲れが飛んでいくかのよう。


白衣のモンスター、アルフィスが何かに気づいて深々と頭を下げた。


この次にこいつが何を言うか、"私"は知っている。


「私の名前は王国研究者アルフィス。アルフィーとも呼ばれているの。よ…よろしくお願いします…!」


そして次にこいつは"私"に気に入られようとして微笑む。



………ほらね。やっぱり言った通りだ。





アンダイン   FIGHT    end


FIGHT編、終了です。
今回、苦手な描写がある方もいるかと思います。申し訳ありません。
実はFIGHTよりACTの方がシナリオ構成が難しいです。
単純ですね。殺すほうが仲良くなるより単純で簡単で明快ですから。


リセットの秘密が暴かれました。
コンテニューとは別物である、ということを覚えて頂ければと思います。


分かりやすいように書いていますが、フリスクの一人称、なにかがおかしいですね。
なぜでしょう。後々分かる事ですね。


ACTでも書きましたが、SANDTALEができて半年です。早い。
応援して下さり、ありがとうございます。

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